ご宝号,お念仏やお題目の冒頭の言葉「南無」の二文字は
拠り所とします、信じ切ります、おすがりしますという意味です。
諸説ありますが、インドのあいさつ「ナマステ」が中国で漢字で音訳されて
「南無」となったと言われます。
以前お檀家さんへお盆の棚経に伺った時の事です。
お仏壇の正面に俳句の書かれた短冊がお供えされていました。
南方で 無念の戦友(とも)が よぶ我を
とあり、「南」と「無」、「戦友」と「我」に丸が付けられていました。
「南無?」「戦友?」「我?」
その俳句の意味をご主人に教えて頂きました。
「南無」という言葉を見聞きするたび、
太平洋戦争を思い出す。
ともに南方に赴き、亡くなった戦友たちの無念の声が
今でも聞こえてくる。
自分だけ生き残った申し訳なさや
今一度戦友たちに会いたい懐かしさなど
やりきれない気持ちで胸がいっぱいになる
と教えてくださいました。
亡くなった戦友たちを偲び、生き残った我が身を大事にしたい
その一心からこの俳句を詠ったとのことでした。
「南無」の一声は、あの世の命、この世の命の尊さを私たちに教えてくれます。
合掌