11/22  おじぞうさまのたより

今年も、あと残すところ、一ヶ月余りとなりました。この数年来、想像を超える豪雨による水害が多くなっています。今年は9月に台風15号、10月には台風19号と、続けての大型台風が日本列島を襲いました。結果、広範囲で甚大な被害が出てしまいました。

被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。

旧暦の10月は「神無月(かんなづき)」と言います。八百万の神様が出雲に、そろって出張する月と教わりました。日本各地の神様達が出払っておられるとすれば、はやくお戻りになられ、私たちをお護りくださいとも請い願いたくもなります。「請い願う」とは「希う」と書きます。非常に強く希望することを意味します。神仏に「希う」ことは、私たちが神仏に祈り、希望の灯火を消さないことです。

幸いにも今回はさいの河原万体地蔵尊、弘正寺はほとんど被害はありませんでした。しかしかつて弘正寺のある岡﨑市伊賀町は、平成20年8月の豪雨による大きな被害がありました。ご家族ご親戚を亡くされた檀家の方が、後日弘正寺にご報告に来られた際の悲嘆に暮れたお姿を、私はこれからも忘れることはありません。

同じ町内でも重大な被害のなかった弘正寺や我が身を振り返った際に

人知の及ばない「計り知りぬ何か」に護られたのではないか、ならば護られた弘正寺は、そして御前は、僧侶として何を成すべきか、その心境に至ることとなりました。

「思いを馳(は)せる」という表現があります。遠く離れている方々に自分の気持ちを向けることです。今は何も出来なくても被災された方々に「思いを馳せる」ことは、被災されてない方々(私自身を含む)はできます。そこから始まります。

私は「希う」ことと「思いを馳せる」ことは等しく大切だと感じています。至心合掌

 

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